ヴァーミッド支持急騰

王都ヴァルメルにあふれる歓呼の声

[ヴァルメル 1日 ダルキソス神殿] ヴァルメル宰相ヴァーミッドに対する支持の声が高まっている。先月、宰相府より布告された「ヴァルメル美化運動」の実施に伴い、ヴァーミッド宰相が自ら率先してゴミを拾って回る姿が街のあちこちで見かけられ、最近は姿も見せなくなったウォルリック王と比較する市民の声望を集めているようだ。

目深にフードをかぶって町の清掃に従事するヴァーミッド宰相?
(写真提供:ダルキソス神殿広報部)

取材に対し、北モリアナに住むR司祭は宰相の姿を目の当たりにした感動を「フードを目深に被っていたが、あれは確かに枢機卿でした」と微妙に目を泳がせながら語った。また、ヴァルメル図書館司書を兼任するM司祭も、取材陣に対して一言一句同じ談話を語っている。
 目撃された時刻も複数の証言に共通しており、これについてR司祭は「枢機卿の陰徳を喜んだダルキソス神が、その加護でより多くのゴミを彼に拾わせたもうたのでしょう」と推測している。一方、宰相の姿を見た者はダルキソス神殿の関係者に限られており、これが何を意味するのかについては今後様々な議論を呼びそうだ。

ダルキソス神殿の
宣伝工作を疑う声も

黒角騎士団の某事情通は取材に対し「あのハゲが、そんな殊勝なマネするわけねえだろ」と噂を一蹴。ヴァルメルに居を構える某魔法使いも「そんなの信じられません」とジト目で首を振った。なお、王に近しい筋からは《ノーコメント》とのみ返答があった。

気象台の降雨制限法案、否決!

[ネロ 1日 ネロ評議会] 先月18日、ネロ評議会の一部局である気象台が、リザードマンの少女、ユウリ・リアンドロを名指ししての降雨禁止法案を提出した。気象台は「彼女によって予報の的中率が下がり、各地の生活に実害が生じている」と主張。一方、法案の棄却を求める側は「彼女の影響範囲は狭く、メンツが傷つく気象台以外の被害者は存在しえない」と訴え、初日の議論は平行線に終わった。

後日、証人として喚問されたR氏は「そりゃ、今日は降らねえと見極めて洗濯した日に困ったことはあるけどよ」と渋い顔。またP氏も「なんでこんな大袈裟なことに……」と困惑した表情を見せた。逆にV氏など「ただでさえ仮面に湿気がこもるのに想定外の雨は困る」という声もあり、法案の可否はさらに後日の本会議における採決に委ねられることとなった。

廃案に喜びの涙をこぼす
ユウリ・リアンドロ
(写真提供:全イアルパパラッチ協会)

採決当日、議場は正規の議員に加えて両陣営の応援者を傍聴に迎え、天井に霞がかかるほどの熱気と湿気に包まれた。最後に賛否双方の代表が主張を述べた後、採決が始まるはずだったが、その寸前に議場の湿度が飽和して室内に雨が降り始める。当然ながら予報になかった降雨にうろたえる気象台と、ユウリの規制は無意味だと野次を飛ばす法案反対派。

さらに一台のキャラバンが「うちのユウリをいじめるのは誰だ!」と突撃してきたことで議場は大混乱、そのどさくさで投票箱が破壊されたため降雨制限法案はなしくずしに廃案となった。

深竜ネルル、リバーシに転向か?

[マルポポ樹根街 1日 ゲッシー将棋協会] 永世天将ブシハハに敗れて以来、重度のスランプに陥っていた深竜ネルルが沈黙を破った。取材陣に対し独断で試合から遠ざかっていたことを詫び、心機一転をアピールするも、「そこに違和感がありました」とゲッシーリバーシ倶楽部の幹部が語る。

「例の敗戦後、ネルルが将棋以外のゲームに没頭していたとの証言があります」証拠はないが、それがリバーシであって欲しい。その可能性は高い。いや、そうに決まっていると言葉を強めていく幹部。一方、ネルルは「記憶にありません」と否定しており、噂の真偽の判定には時間を要しそうだ。

白い処刑場でリバーシに興じているネルル?
(写真提供:マルポポリバーシ倶楽部)